人間関係を利害関係で捉えようとする韓非子の人間観が、わかりやすく一冊にまとめられている。現代社会の仕組み、特に経済、法律、行政、人間管理等について考えてみても、なんら古めかしくはなく、かえって原点を見るかのように感ぜられる。約2200年前の著作。
支配の技術・・・「法」「術」「勢」にある → 定法篇、二柄篇、難勢篇
「術」:君主が臣下を操るために心密かに用いる技術
「法」:君主が人民を支配するために公開し、厳しく施行する法律及び法制度
二つの有機的なつながりをみせながら運用すること
※申不害は、「法」を無視したため失敗した
商鞅は、「術」を明文化し法体系に組み入れたことがにより失敗した
人は富貴を追い求めるものである。君主はそのことをわきまえた上で、二柄(恩賞と刑罰)を用いて臣下を操り、臣下が法に背かないようにさせる。→二柄篇、主道篇
平凡な平均的な人間が、平均的な人間をいかに効率よく支配するか。→難勢篇
支配者が聖人か暴君であることはごくまれで、儒家の論理では両極端を問題にして肝心を議論していない
凡人の君主が「賢」であろうとする努力によって天下の治乱が左右される
人間観と世界観 → 備内篇、外諸説左上、五蠹篇、大体篇
人間は欲望によって動く存在
利益のあるところ、人間は欲望をかき立てられ、あらゆる行為をする
利益の有無が、そして利益の種類が人間の欲望を左右し、人間の行動を決める
「利」こそが、道徳や倫理よりももっと根源的なところで人間の行動をきめる
社会は時間とともに変化する → 五蠹篇
過去における成功は、もはや現代には通用しない。「守株」「まちぼうけ」
人口論をベースにした社会変化の考え方
人口増による衣食の不足→争いの深刻化→競争による文化の向上→生活水準の違い→富の出現→利益追求と貧富の差→「利」の人間観