この「韓非子」第二冊は、韓非という人間を考える上でなかなか興味深いものになっています。
まず第一に、ここでは老子についての解説がされています。厳正な法秩序を訴える韓非子と老子とでは意外な組み合わせの様ですが、よく考えてみるとこの両者は結論では大いに異なりますが、根源的な人間観で通じるものがあります。どちらも人間というものを奇麗事や飾り事では治まらないものであるとして、そういった人間の現実の姿を見つめようとする姿勢で共通しているのです。
第二に、説話の非常な多さです。それも史実に基づいた説話で、抽象的な概念やいわゆる怪力乱神の類の話ではない。だから読んでいて大変説得力があります。それらの説話の裏には、韓非ならではの厳しい理論があるわけですが、具体的な裏付けがされているので反論しにくい。このような実証主義的な面が、韓非子を単なる机上の空論に終わらせないものにしています。
勝れた政治論、人間論であり、その冷静な現実観が知的な刺激を満たす、読みごたえのある書物です。確かに受け入れにくい部分もありますが、その説得力はおそらく誰も否定できないのではないでしょうか。