一般に『韓非子』は非情の書として知られており、読まず嫌いの向きも結構あると思うが、じっくり向かい合って読むと人間の行動心理を如何に冷静に見つめていたか、がよくわかる。ここでは君主が失ってはいけない二つの権力『賞罰』が如何に大切かを訴えており、君主の心は臣下に読ませてはならず、どのようにして君主が力を失っていったかが、たくさんの事例を上げて説明されている。
しかしこれは君主(社長)の立場としてのみ読むものであろうか? 今の時代では社員としてこの書を読み、如何にのし上がっていくか、という形でも読むことができるだろう。ここに挙げられている話は良くも悪くもわれわれ人類の教訓なのだ。
この本に余計な解説本はいらない。この本を虚心になって読み、所々で立ち止まって、自分の置かれた立場と比べ合わせながら読み進めばこの本が現代にも通じる実にリアルなものであることが再認識されるだろう。