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韃靼疾風録〈上〉 (中公文庫)
 
 

韃靼疾風録〈上〉 (中公文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

なぜか九州平戸島に漂着した韃靼公主を送って、謎多いその故国に赴く平戸武士桂庄助の前途になにが待ちかまえていたか。「17世紀の歴史が裂けてゆく時期」に出会った2人の愛の行方を軸に、東アジアの海陸に展開される雄大なロマン。第15回大仏次郎賞受賞作。

登録情報

  • 文庫: 542ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1991/01)
  • ISBN-10: 4122017718
  • ISBN-13: 978-4122017719
  • 発売日: 1991/01
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By 内田裕介 トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
1984年1月から87年8月まで中央公論に連載された司馬最後の小説である。

舞台は1600年代なかば、明が衰え清が勃興する時代の中国である。日本に漂着した女真族のお姫様を故国満洲に送り届けるため、平戸の武士桂庄助が命をかけて大陸に渡る。大陸では女真族に加わって明との戦闘で活躍し、歳月を経て藩主への復命のため日本に帰ってくる、という壮大なスケールの冒険譚である。

江戸初期、実際に大陸に漂着し、建国直後の清に保護されて激動の時代を見聞した竹内藤右衛門という船頭がいたそうだ。とはいえ、彼が本作のモデルというわけではなく、登場人物は完全に司馬の創作になるもの。トレードマークの歴史小説ではなく、むしろ初期の冒険活劇作品を彷彿とさせる。

冒険活劇としてのストーリーの面白さはもちろんだが、司馬がこれまで作品のなかで取り上げてきた主要テーマ、すなわち男の典型としてのダンディズム、日本人の精神、中国文明圏の中での朝鮮と日本などが濃厚に凝縮されていて、その意味で司馬の集大成というにふさわしい作品である。

どういうわけか執筆前から小説を書くのはこれで最後と決めていたらしい。書き上げた時はまだ65歳、死の8年前とはいえ、まだ体力的な衰えをいうには早い。

「それはべつとして、庄助やアビアはいつ死んだのであろう。

 そのことを詮索する根気は、筆者においてもはや尽きた。」

司馬はなにかに絶望していたのであろうか。ほうり投げるような結びの言葉が印象に残った。
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形式:文庫
明朝が衰退し、新たな統率者が誕生しつつある動乱の中国大陸を、平戸島の青年武士の目を通して描く歴史物語。映画「ラストエンペラー」の大ご先祖様の話です。

「未知の国から漂着した娘との恋愛模様を絡めつつ大陸に渡る」という冒険要素が満載なのですが、著者お得意の歴史背景の描写に多数の頁が割かれているため、タイトル名程の軽快感はありません。
しかし、中国最後の帝国が出現するこの時代に関心がある方ならば、これ以上の歴史教科書も無いでしょう。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
女真の重鎮の娘アビアが長崎の平戸に漂着し、平戸藩が救助するとともに女真との交易を発展させるために、主人公の庄助を使者としてアビアを帰国させる。苦難を乗り越え帰国は成功したが、アビアの家族は、ヌルハチグループから排斥され、アビアは庄助の妻と言う身分でしか女真に残れなくなってしまった。その後、江戸幕府の鎖国政策のために、企画した女真との交易計画が消失するとともに庄助は帰国さえできない状況になった。それに並行して、中国の明の衰退と女真の勃興のために、庄助は日本国の代表として女真の政治と軍に利用される形で波乱万丈の世界を生きているうちに、女真は明を倒し清として中国大陸を支配することになる。
 この小説は、古代からの日本とアジア諸国との自由な交易が、江戸幕府の鎖国政策で消失し、同時代に起った明の溶け去るような崩壊と清の勃興を示したものである。日本人が、中国、朝鮮を含め、アジアと広く交流していた時代の雄大さを示しながら、閉鎖国家になった悲しさも伝えられ、明治以後の日清戦争、日ロ戦争、太平洋戦争での日本の問題点の一つを伝えようとしている印象がある。
 司馬遼太郎氏は、この小説で明の崩壊のような歴史的事実がいつでも起り得ることを暗示している。この小説は、司馬遼太郎氏が最も気に入っているものの一つではないかと直感的に感じるが、「評価を得られる日がいつか来るのかな?」、と思いながら書き上げたのではないかと推察する。
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