イランの「国定教科書」を通じて、イスラム革命下の教育現場、さらに国民生活の変容をきちんと描いていて二重丸。ホメイニ師のような、100年にいちどのカリスマを迎えたイラン社会が、カリスマの力ゆえに下々の勤勉な民をドライビング・クレイジーしてゆく様子が、教科書というメディアでよく分かる。たぶん、イスラムとか非イスラムとかいう枠を超えて、カリスマ支配というものが君臨した社会というものは、多かれ少なかれ、ホメイニ支配のイランと相似形だと思う。そうした意味で、こんどは新聞・テレビというみずから迎合するメディアに対するカリスマ側の浸食の仕方も見てみたい。ちゃんとした地域研究でありながら、私のような素人でも読みこなせる良本。