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革命か反抗か―カミュ=サルトル論争 (新潮文庫)
 
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革命か反抗か―カミュ=サルトル論争 (新潮文庫) [文庫]

佐藤 朔
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

歴史を絶対視するマルクス主義を批判し、暴力革命を否定し、人間性を侵すすべてのものに“ノン”と言い続けることを説いたカミュ。彼の長編評論『反抗的人間』の発表をきっかけにして起きたサルトルとの激しい論争を全文収録。カミュ、サルトル二人の思想の相違点を知るとともに、現代における人間の尊厳、自由について考えさせる必読の書。ほかにF・ジャンソンの二論文を収める。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐藤 朔
東京生れ。慶應義塾大学仏文科卒。同大塾長、私大連盟会長等を歴任。フランス学術文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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正義のためなら殺人は許されるか、というと、まるで現在のブッシュ政権に対する問いのように感じられるかもしれませんが、この論争が起こったのは今から50年も前、1952年のことです。

カミュにとって、人間の生命こそが価値です。いかによりよく生きるか、ではなくて、いかにより長く生きるかが問題なのだ、とまでカミュは言っています。ですから、どんな大義名分があろうと、カミュにとって殺人は悪です。戦争は悪ですし、死刑も悪です(カミュには「ギロチン」という死刑制度についての文章もあります)。革命運動も、それが殺人を許容するなら悪です。

カミュ・サルトル論争は、共産主義革命という正義のためなら殺人は許されるか、をめぐる争いです。共産主義が正義かどうか、が争われているのではありません(同じことですが、「反抗」と「革命」の対立であって、「共産主義」と「資本主義」の対立ではありません。ふたりとも共産主義が正義であることを疑っていません。ただ、カミュが革命運動の最終手段である暴力を否定しているので、事実上は反・反体制に傾いています)。この論争では、サルトルの思想がカミュの心情を圧倒している、という判断が大勢のようです。けれども、歴史はカミュのほうが正しかったことを証明しているように見えます。

私は、カミュと同様、たとえ正義のためでも殺人は許されない、殺人を認めたときに正義ではなくなる、と思っています。世界に意味がないからこそ、殺人は認められません。逆に言えば、殺人という究極的な行為を許すような価値があるのなら、世界には意味があることになってしまいます(ーーもしかしたら、世界には決定的な正義があるのかもしれません。でもそれは、残念ながら私たち人間の眼からは隠されています。ですから聖書でも「復讐するのは神である」(ローマ12・19)とされているのだと思います)。

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 30年ばかり前、某大学でフランス文学を勉強していました。そのころはまだカミュもサルトルも「現代文学」のうちでしたので、本書も読みましたが、はっきりいって半分もわかりませんでした。最近「シューシポスの神話」を部分的に読み返してみて妙に共感できるところがあり、「反抗的人間」も(抜粋訳ですが)読んでみたので、あらためて本書を読み返してみました。

 たしかに本書のカミュは意地が悪い。『レ・タン・モデルヌ』に載ったジャンソンの書評をサルトル自身が書いていると決め付け、サルトルが匿名で自分を個人攻撃していると邪推しています。しかしカミュの側にはそのように誤解してしまう事情があったのかもしれませんし、1950年代フランスの第四共和制下の混沌とした政治文脈で読まなければこの論争は正当に評価できないでしょう。

 しかしそれよりも何よりも、この論争はカミュの「反抗的人間」が発端になっているにもかかわらず、日本の読者はこの本を手軽に読むことができないことが問題です。本書に採録されているテクストは、サルトル側のほうが分量的に多いので、どうしてもカミュのほうが不利に思える。新潮社はどうして「反抗的人間」を文庫化しないのでしょう。この本を読まないかぎりこの論争の正当な評価はできないし、論争だけ読んだのでは、実存主義者たちがつまらない仲違いをやったとだけという印象しか残りません。版権も新潮社が持っているはずなのに、いったいどういうわけでしょう。

 いまさらカミュを文庫化して何の意味がある?という向きもあるかもしれません。「反抗的人間」はある意味コミュニズムを批判している面があるし、かと思えばテロリズムを容認しているようにも読めるので、文庫化には慎重なのかもしれない。

 でもカミュが残した思想的エッセーは、執筆当時の政治的文脈をはるかに超えて、人間の生きる普遍的な条件を問いかけているのです。カミュは人間の絶対的「貧困」を論じているのではないかと思います。「不条理をあえて引き受けて生きる」という生き方は、ワーキング・プアの心には響くものがあるし、冒頭で「反抗的人間とはなにか?否という人間である」という「反抗的人間」も、読み進めるにつれて絶対的貧困ゆえの絶対的な「連帯」を語りかけようとしているのだとわかってきます。カミュの「不条理」とベケットの「不条理」はなんとなく重ならないもののように思われていますが、じつは同じことを語っているのではないかという気がしています。

 新潮社の担当の方はマルロー「人間の条件」重版を含め、ぜひご検討を。
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革命対反抗 2004/3/18
By ウネ
~この論争はカミュの『反抗的人間』をめぐって争われたものですが、その内容についての議論というよりは、サルトルらの側からカミュへの個人攻撃、またその反撃の繰り返しのように思われます。ほとんど嫌味の言い合いに近いものも感じられます。  反抗的人間自体が革命のためなら殺人が許されるというのはおかしい、といっていますので、ここでサルトルの共~~産主義革命と、左翼寄りに居ながらも革命による殺人を否定するカミュの立場の違いがより明確に示されたのではないでしょうか。 この論争は結局サルトルの方が有利な形で終わったわけですが、これはサルトルが文学者であり哲学者でもあるのにくらべ、カミュがあくまでも文学の範囲内にあり、その主張や文体が文学に依っているものであるからではないでしょう~~か。 私個人としては、サルトルだけでなくカミュもまたその時代を反映し当時の若者に絶大な支持を受けていたのですから、その意見にはやはり耳を傾けるだけのものがあると思います。~
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