アジアの各都市を旅しているとそこで生活している人々の息吹や体温の温もりをその喧噪の中に感じるのですが東京という都市は小奇麗ではありますが徹底的に消毒され管理され殺伐とし体温を全く感じさせない神経症的な異常な空間であるといつも感じていました。
ところがこの作品の中の東京はその無機的な風景にほのかな温もり、ノスタルジックな哀愁を街自体が放っているのです。まるでバンコクのチャイナタウン、台湾の下町の様に。そこに写し取られている街は大資本が投下されマスコミが注目し『住みたい町』にランキングされる様な処ではないのですがその忘れ去られた町々がひっそりと仄かに夕暮れのなかで静かに温かい輝きに包まれている姿を見させてくれる本作は奇跡的な傑作としか言いようがありません。