非定型うつ病とは、うつ病の症状と共に(1)気分反応性(2)体重増加(3)食欲増加(4)過眠(5)鉛様麻痺(6)拒絶への過敏性などが見られる障害である。また、うつ病は自責感が強いことが多いが、非定型うつ病では他責的になることが多いようである。これらのことから境界性パーソナリティ障害(BPD)との異同が議論になるが、BPDほど人間関係の巻き込みは酷くないことなどで鑑別できるようである。
本書ではこうした非定型うつ病について様々な面から検討と議論がなされており、その特徴が論じられている。そして、その判別のためのテスト(非定型うつ病診断スケール)も巻末に付録として添えられている。
非定型うつ病に関する文献は日本ではそれほど多くはないので、本書は貴重であると言える。そしてその特徴を知り、診断をしていく上で参考になることが多いように思う。ただ、治療の面については本書ではあまり取り上げられておらず、その上薬物療法に関する記述の割合が多い。心理療法・精神療法については“認知行動療法が良いだろう”ぐらいしか書かれていないので、この辺りは物足りないように思われた。