最初は表紙買いである。買った後で
アノ作品の作者と判って期待したが、結果はまずまずというところか。第一章は主人公【蒼介】の双子の妹として突然現れた【緋美子】とその父【優太郎】が秘密を共有しながら蒼介だけカヤの外という場面が目立つため、不貞腐れ気味に意気がる蒼介と強気な緋美子との衝突が何とも釈然としない気分にさせる。第二章から流れが変わり、次第に緋美子の素顔が垣間見え、蒼介との仲もこなれて始めてから面白くなってきた。(よく見ればバレバレだが)表紙にヒントがあるように、蒼介の家族には特殊な能力があり、今まで蒼介がその能力を自覚しなかった理由、そもそもなぜ母と離れて暮らしていたのかが後半で明らかになってくる。直接ではないが13年振りという蒼介と母との邂逅は、本作の家族パートでのクライマックスである。
本当は「お兄ちゃん大好き!」な感情もありながらツンケンしている緋美子は、蒼介が密かに慕うクラスメイト【優奈】が気になるようで、蒼介と優奈が2人でいるところをさり気無く邪魔するところなどは結構可愛らしい。兄の恋の行方なんてどーでもいいんだけどなんか面白くない、みたいなところが出ていて良かった。ただ、この「気になる」にはもう1つの意味があり、それが学園パートの結末に繋がっていく。
学園での事件も解決し、蒼介と緋美子の仲も随分改善された形で終わりを迎えるが、本作に続きはあるのだろうか。今回の騒動の元凶となった科学部にも未活躍のメンバーはいるので、話を膨らますことも出来なくはないとは思うが、蒼介と緋美子の能力を発揮する場面を設けるのが難しい気がする。あとがきにある「次回」というのが本作の続編なのか別作品なのかも判然としないので、蒼介達のその後は読んでみたいのだが、本作は完結の可能性もあると思う。