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高橋は、靖国という「問題」に焦点を当て、その思想的・哲学的問題性を読み解こうとする。それに対して坪内は、靖国という「空間」に焦点を当て、そのモダンでハイカラな祝祭空間としての意味を読み込もうとする。同じ「靖国」を題材としつつも、その焦点はまったく違ったところに当てられている。両者は対立的であるよりもむしろ、「靖国」の持つ多面的な近代性をそれぞれの視点から論じているという意味において、相補的である。
この坪内『靖国』がアカデミズムの場で無視されている現状を、大阪大学の川村邦光氏がある場所で指摘しているが、それは「靖国の空間的モダニズム」を論じた本書のような論考が今までになかったことに由来するのではないだろうか。
管見の限りではあるが、今のところ類書はない。パイオニア的な良書である。
まったく余談だが、平日の靖国神社のベンチは人影も少なく、会社をさぼって昼寝するには持って来いの場所である。何か懐かしい匂いがし、涼しい風が吹く。この本には、あの心地良い場所の記憶がある。
真中にあるのはもちろん皇居である、... 続きを読む
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