アメリカの児童向けの魔法物語の名手チュウさんの秀作を紹介するシリーズ「魔女の本棚」の5冊目です。今回は以前に出て来た‘飛ぶそうじき’の様な突飛な設定ではなくて、ほうきという魔女にとってはお馴染みの古典的な小道具ですが、作者はほうきの穂を青く塗って一緒に青い鳥も登場させる事によっておしゃれで新鮮な効果を上げられています。
エイミーはお母さんが裏庭で見つけて来たというほうきを取りに行って、不意に消えてしまったり時間が経つとまた見つかったりしたのでびっくりして困惑します。また急に庭に現れた青い鳥ブルージェイが家の中に入りたがっている様子なのに気づいて、どうもおかしいなと感じるのでした。
本書ではエイミーと女友達のジーンが、空飛ぶ魔法のほうきである事を発見しウィスピーと名づけて親しくなりますが、ほうきはしゃべる事が出来なくて柄を縦と横に振ってYesとNoを示せるだけですし、もう一つの謎の青い鳥ブルージェイの方も「シーフ(どろぼうの意味)、シーフ」と鳴くだけですので、両方共に意思を探るのが困難で相当に苦労します。その事で二人が真相に辿り着くのに時間が掛かりますが、でもまた今回も青い穂のほうきウィスピーがエイミーとジーンの二人を同時に乗せて海上を飛んでいる内にカモメに気を取られて墜落してしまい水に濡れて飛べなくなる大ピンチ等々おもしろい冒険シーンの読み所がたくさんあって楽しめます。作者の本を読んでいていつも良いなと思うのは、出て来る魔女がそれ程に怖くなく中にはドジな新米もいるという設定が生み出す親しみ易さです。本書の新しさは、魔女その物の登場機会は少なくして、普通は小道具で脇役的存在のほうきと少女達との友情物語をメインに持って来た所にあるでしょう。エイミーが周囲の大人達に正直に魔法の話をしても、単なる冗談と取って絶対に信じようとしないパターンもベテランらしい上手なお約束の法則だと思います。今回の魔法の仕掛けは途中で薄々わかりましたが、それでもエイミーとウィスピーの確かな友情の物語に感動し大満足しました。