「原作」というよりは、原点もしくは原案というくらいに大胆なアレンジをされています。アトムはあまり主人公のような感じではありません。原作通りの青騎士を期待して読まれるとちょっとビックリするかもしれません。
根底に流れるのは原作アトムの話の根底にある「親子愛」なので、そういう部分ではやはりアトムなのだなあと思います。
また、浦沢作品同様に学習を重ねたロボットが、結果的に人間との境目がはっきりしなくなっていくという部分と人間の生体をベースにしたロボットというのも出て来ていて、二重の意味で人間とロボットの違い、「人間とは何だ?」ということを描こうとしています。
ですが単行本一冊ではいろいろな出来事を詰め込みすぎた感じで、いろいろな事がやや掘り下げ不足のような印象があります。もう一冊分くらい巻を重ねたらもっと濃いストーリーになったのではないかと、惜しく思います。
手塚作品のリメイクというのは、漫画家さんにとっては非常に勇気が必要で、なおかつ激しいプレッシャーとの戦いと言う、作品クオリティとは別の戦いがまずあるのではないかと思います。
作者の原作への敬意とリスペクトは十分すぎるほど感じられ、大事に描かれていると好感が持てました。こういった「新訳」的な原作アレンジは、新しい試みとしてどんどんやって行って欲しいとおもいます。