暑い夏の日の食卓には、さっぱりとした物が欲しいものです。日本の夏のメインディッシュは、なんといってもお酢を使って食中毒も防いでくれる「酢の物」です。昔は夏に生物を食べずに出来るだけ「酢の物」にしたものです。香りと彩りで食欲をそそってくれる食材に「食用菊」があります。
菊の花を食べる習慣は東北地方だけに残っているようですが、もともと、菊の花は1400年前の奈良時代に薬用食用として日本に入って来たと言われております。観賞用にするのは時代をずっと下がった江戸時代からだと言われています。元来、菊は、日本にはない植物だったので今だに「キク」という発音以外の読み方はありません。秦の始皇帝が不老長寿を願って食用したという言い伝えが残っており、始皇帝の居城である阿房宮(アボウキュウ)の名を取って阿房宮菊と言われています。菊を使った料理はいろいろありますが、いまの暑い夏の時期にはサッパリと「なます」にして食べるのがおすすめです。「菊なます」は生菊でも作れますが「菊のり」と言われる「干菊」を使うとなかなか調理に便利であるとともに保存食として急な来客の時の料理に役立ちます。「干菊」は、蒸して乾燥してありますからとても使い勝手も良くて便利です。「菊のり」は、味噌汁や菊ずし、酢の物などがおいしいです。
菊の薬効は古くから強心作用、頭痛、肩こり、眼精疲労などの効用が認められております。古人は、重陽の節句で菊花酒を飲んで無病息災を願ったと言われています。