昭和初期、すなわち、ようやく日本でもレコード産業が確立し、歩き始めた最初の数年の記録。
正直、錆び付いた骨董品のような、今聴くと辛い楽曲もあるのだが、昭和歌謡を研究しよう、という人のためには、とても重宝するCDだと思う。
Disc1は、中山晋平の創った曲が多い。彼の創る楽曲は、歌謡曲、というより「唱歌」的なものが多いし、シンガーの唄い方もぎこちないものが多い。そんな中、外国曲(日本語版)を軽やかに唄ってみせる二村定一が断トツにカッコイイ。その二村のヴァージョンで収録されている、'60年代になってフランク永井がロッカ・バラードのアレンジでカヴァーした「君恋し」('28)は、日本最初のオリジナルのジャズ・ソングかもしれない。
Disc2になって、ようやく古賀政男が登場する。服部良一は、まだ登場しない。中山晋平の創った楽曲は、依然として多い。
古賀政男というと、今の音楽ファンの方々には「古臭い演歌の作曲家」というイメジが強いかもしれないが、こうやって彼の創った楽曲をまとめて聴いてみると、当時最先端の楽器だったギターやマンドリンを効果的に使った、モダンな楽曲も少なくないことがわかる。
あと、小唄・端唄といった、芸者さんが唄った楽曲に、拾い物が多かった。