本書は森村誠一氏の比較的珍しいエンターテインメント小説です。
舞台は日本ですが内容はグローバル的であり、読み手に興味を抱かせる物語になっております。
登場人物像も分かり易く、複雑に絡み合うような推理小説ではありません。
元エリート自衛官の羽月数也を中心に組まれた精鋭のボディガード達がある依頼人の家族の護衛を守りつつ、日本の強力な暴力団や国際的なテロ組織らを相手に立ち振る舞う活劇調の物語で、スケール感があります。
しかしながら、どこか無理筋に見えてくるような構想にもとられ、また巨悪にしては奇抜性に欠けていて、内容にバランスの悪さを感じます。
本当の巨悪犯罪組織ならこの本に出てくるような簡単に踏みつぶされる体制ではないはずです。この辺りは小説の枠内でのことでしか表現できない無理な味付けになっていて、残念です。
小説にはどこかテーマがあることが大事ですが、そのテーマに無理やり構想を膨らませすぎているため、読後感に余韻がありません。