ジョニ・ミッチェルの初期の名盤としては、このCloud(青春の光と影) とBlue、そしてLadies of the Canyonを聴くことをお奨めする。このCloudでは、「チェルシーの朝」と「Both Sides Now(青春の光と影)」が特に有名だ。1970年代に学生運動が盛んだったとき、Both Sides Now の「物事の両側面を捉えて見る」という世界史観が、当時の「政治体制にだまされるな!」とか「大義名分のないベトナム戦争反対」といった空気を盛り上げるのに少しは役立ったのかもしれない。
実際にこの「青春の光と影」で良く売れたのはジュディ・コリンズの歌っているバージョンのもので、日本でも赤い鳥というグループがカバーしていた。正直自分もリアルタイムでは、ジュディ・コリンズのカバーでしか聴いていない。当時の女性フォーク歌手といえば、ジョーン・バエズが一番有名で、ジョニ・ミッチェルは余り有名ではなかったかもしれない。しかし、ジョニの歌詞を読むにつけ、ジョニが、ジョーン・バエズよりいかに思想的に深く、より詩人であったかが分ると思う。
このアルバムを聴くと、全てギターかピアノだけのアコースティックであり、澄みきった彼女の声と相俟ってとても素朴で、清清しく聞える。そして歌にメッセージがあり、ひしひしと私たちの心に響いてくるものがある。また、ギターの腕前は、CNS&Yのデビット・クロスビー仕込みの変則チューニングで素晴らしい。ジョニ・ミッチェルのファンならずとも必聴の1枚である。