読むのにエイヤっと気合を入れないといけない漫画である。
なぜなら少女のための少女による少女の漫画だからだ。少女の前に「元」と付けても「擬似」と付けても構わないが。
少女と子どもを描かせたらピカ一のタカハシマコ先生と、少女が見上げる寒く茫洋とした灰空を書かせたら右に出る者のいない桜庭先生の共作であるからして、当然世界観が孤高に屹立していて読むのに覚悟がいるのである。
もちろん読後の満足感も当然に保証されてるわけですが〜。
今巻は学園の創立秘話というのか、創設者である聖マリアナの秘話がメイン。この作品は「聖マリアナ女学園の一生」とでも呼ぶべき作品だろうと思うのですが(コミック完結するまで原作は読まないつもりなので想像ですが)、創設者の種子がいかにして「神の学び舎であるマリアナ女学園」と「隠花植物のごとき読書クラブ」の二つに分かれていったのかを語るエピソードでしょう。完璧な妹マリアナでは作れなかった読書クラブという種子。妹の代わりとなり、完璧なマリアナとして学校運営に邁進した兄ミシェールの、唯一の落し胤であり、ため息のような存在でしょう。そんな彼女らが彼に代わり百年のマリアナ学園を見守るのです。
この作品はどうやら百年という長い尺を持った物語のようですが、すべて語られる内容は10代のほんの4・5年の思春期です。しかしその思春期を語る個人が変わることで、連ねていくと百年に到達する。「一瞬にして永遠」という少女テーマに通じます。
そしてミシェールなんですが、彼は思春期のデカダンの気分の時期に、愛する妹の十字架を負い、妹の代理として一生を生きます。つまり、彼は思春期の次の季節に移行することなく、他人の人生を歩み、彼の思春期はまるでタイムカプセルのように封じ込められるのです。読書クラブの一人が「マリアナが女でなければ、あのように少女たちから身も世もなく慕われるはずがない」と述べます。けれど思春期をタイムカプセルにして封じ込めた女装の修道女は、前進のみに邁進した進歩的な修道女より、少女たちを魅了したのではないでしょうか。