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この本を、他シリーズとは無関係の一つの作品として見ると、クオリティは低いと言わざるを得ない。
世界の説明は少ないのに、「フォーチュン・クエスト」や「デュアン・サーク」などの設定は出てくるし、それらの話のあらすじも出てくる。
また、既存の言語が頻出するのも頂けない。フォーチュン・クエストなどでは、我々が日常的に使う言葉が同じように出てくることで読みやすさと親しみやすさを出しているのだが、それらのシリーズの名を冠さないハードカバー装丁である以上、日本語で書く以上は、「アイテム」「パニック」「モンスター」等という英語を安易に交ぜるべきではないと私は考えている。なぜなら、深沢美潮を知らない一ファンタジーファンが手に取る事が予想されるからだ。異世界を日本語で表現する限り、そこに(日本語での言い換えが安易な)英語が混ざることは現実に引き戻すことになりかねない。
文量としても一冊の薄い文庫本に入る程度(文章体裁は電撃文庫と同じ42文字x17行で193ページ)なのに、文体までジュニアノベルの癖を引きずっていては、背伸びしたジュニアノベルにしかならない。
素材は良いのだが、やはり惜しい。ジュニアノベルの装丁と値段で発行していれば素直にお薦めできたのだが……。
ただし、この本を「デュアンやフォーチュンのサイドストーリー」として読むと、面白い作品だということは保証する。《ミルダの章》などは、本当にファンタジーの短編らしい短編で、とても面白い。
なお読む前にデュアン・サークの5~8巻を読んでいないと、本書が理解できず、またデュアン本編のネタバレにもなるので注意して欲しい。
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