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実は本書。三島的にはあまり気に入っていない作品のようではある。しかし読者として見るとき、三島自身の不満の根源と、その不満を超克する三島の将来を伺い見ることができ、非常に興味深い作品となっている。
前半部分。主人公の性格描写や、あるいは主人公が独白する偽善的・偽悪的呟きには『仮面の告白』のテイストを感じる。しかし、後半に入るにつれ、三島は『仮面』における善悪の直接的な探求を求めるのではなく、いわば「仮面それ自体」の探求を試みているかのように主人公を描きなおす。『仮面』の翌年に発表された「もうひとつの仮面物語」とでも言うべきか。
作者の目から見ると、『仮面』と『青の時代』の通底部にある「仮面的主人公」をいかに扱うべきかという「結論」が見えない苛立たしさがあったのかもしれない。しかし。例えば『仮面』を作者自身の「心の叫び」のようなものとして受け取った読者は、『青の時代』における「仮面の相対化」あるいは「作家自身の相対化」を感じ、三島文学のその後を楽しみにしたのではないだろうか。
読者として言えば、非常に興味深い作品であることに間違いはない。
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