ヒロインは天才的な刺繍職人。奴隷の身分から自由になるべく、主のもとから逃げ出したヒロインは逃走の途中で力尽きたところを、テンプル騎士団に命を狙われているヒーローに助けられます。
助けたといってもヒーローがヒロインに対する態度は冷酷なもの。彼のそんな態度に怒りが込み上げるヒロインですが、ヒーローが冷酷に接しようとする思惑には、命を狙われている自分に深く関わっては周りの人間にも危険が及ぶだろうと考えての事と知り、彼に感謝と愛情を抱くようになります。
そして感謝の思いを込めて、ヒーローのために美しい刺繍ののぼりを制作したヒロインは、制作したのぼりのせいでヒーローに深く関わっているという事実に関わらず、彼女自身が命を狙われる羽目になります。
なぜ彼女が命を狙われるようになったのかという謎と、ヒロインを守るために遠ざけようとするヒーローの切なさ・・・、謎とロマンスがうまく融合されている読み応えある作品でした。
なんといってもヒロインが強い!賢さと刺繍の腕を武器にどこへいっても誇り高さを失わず、女王然とした振る舞いを保ち続ける姿には舌を巻きます。もちろんその強気な姿勢でヒーローの頑なな心も溶かしていくのだからすごい!
強すぎる気性の女性は一歩間違えるとただの我侭な女性になりがちですが、そんなことはなく好感が持てるヒロインでした。むしろその生き抜く強さを見習いたいです(笑)。
のぼりの謎も、時代背景などを考えると一大事の内容で驚かされますし、まさにヒストリカルを読んだ!という気にさせてくれる一冊でした。