主人公と同年代に読んだ感動を思い出して20年ぶりに読んでみたが,あのころと同じ感動を味わえたのに驚いた。
大学4年間,テニスに打ち込む若者の姿を通しながら,友情,恋,友人の自殺,等々,特別際だった学生生活をテーマにしてる訳じゃなく,一般的な若者の姿を通して描くことで,多くの共感を得られているのではないか。
一見,テニスはおしゃれで軽いスポーツのように見えるが,実際はタフで孤独なスポーツ。何よりメンタルが大きな要素を持つ。どんなに力の差があっても一つ一つのポイントを積み重ねていかないと勝負は終わらない。どんなにポイントをとっても最後のポイントをとらないと,そのゲームのポイントは全て相手のものとなる。無情なスポーツとも言える。
大学生活中,真剣にもがきながら生きていく若者の姿を,必死で粘ってポイントを取るけど最後のポイントを取れずに「形」としてゲームを取れない状況として描いている気がした。だけど,形に残らなくても必死でボールを追う(生き様を探す)姿こそが,一番輝かしい時間であったということも言いたかったのだと,「今は」思える。
夏子を想う遼平のせつなくまっすぐで純な気持ちがこの作品の中心線であり,その中心線がいつもまっすぐなので,20年以上経っても感動が揺らがないのだろう。
読んで決してまちがいはない。久しぶりにまっすぐな王道の青春小説。