青い花<ツルニチニチソウ>という意味の名前の少女ヴァンカと少年フィリップ、そして彼を男にする年上女性マダム・ダルレイの三角関係を描いた作品です。
個人的には年上女性に性の手ほどきを受ける少年というフランス文学のパターンはやや食傷気味だったのですが、この作品において素晴らしいなと思ったのはタイトルにも挙げた「青」の美しさと、ヴァンカやマダム・ダルレイを通して伝わってくるコレットの「女」というものへの洞察力とそれを造形する力です。
青い花という意味の名前を持つヴァンカの美しさと言ったら!彼女はその名にふさわしく真っ青な瞳の持ち主なのですが、その青さが彼女の心理状態に合わせて、様々な青になっていくのがきわめて楽しい。
また、うら若き純粋な乙女であるヴァンカが垣間見せる夜のような深さ。また幾多の恋を経験してきたであろう手練手管にたけたマダム・ダルレイの見せる少女のような繊細さ。「おぉー、女を分かってるじゃん。」と思わずうなってしまいます。単に年齢や地位で区切ることのできない「女」性を描くことができたのは、女性作家であるコレットのなせる技であったのかもと思いました。
また最後にある鹿島氏の解説で、なぜフランス文学は年上女性と青年というパターンが多いのかというのに対し明快な解答があり、自分のこれまでのもやもやした疑問が解消されました。