前編こそあまり惹かれなかったものの、後編は怒涛の展開で時間を忘れてしまった。
『青い文学』は基本的に原作の物語を忠実に、しかし演出を大胆にアレンジしてアニメ化しているのが印象的だが、
本作はそのアレンジが強い。
『走れメロス』を知っていてもなんの抵抗もなく見れるのは、原作とアレンジ部分をきっちりと住み分けできているからだ。
本作は原作の『走れメロス』を劇中劇のスタイルでアニメ化している。直球に『走れメロス』をアニメ化しつつ、新たな物語が並走する。
『走れメロス』が物語と深くリンクしながら、しかし原作から逸脱することなく忠実に描かれている。
制作は『魍魎の匣』を手がけたマッドハウス。
幻想的な映像美や、リアルな人間の表情を描き抜いたスタッフだ。
昭和時代の空気が爽やかに伝わってきて、物語の没入感も強い。
前後編合わせて四十分ていどの短編だが、濃密な物語が展開している。
とにかく、よく動く。
アクションが躍動感に溢れるのはもちろん、小さな仕草やSEも効果的に用いてある。
キャストの熱演も手に汗握る。
CGやエフェクトの使い方も絶妙で、デジタルな表現とアナログな表現の融合が完璧に仕上がっている。
ごちゃごちゃとせず安っぽくもならず、透明感のある画面はさすがマッドハウスといったところだ。
二〇〇九年の年末に現れ、そのまま隠れてしまった傑作。
見逃すには、あまりにも惜しい。