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霧の塔の殺人 (角川文庫)
 
 

霧の塔の殺人 (角川文庫) [文庫]

大村 友貴美
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

岩手県・雲上峠のベンチに生首が置かれていた。被害者は年商総額三十億にのぼる会社経営の実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰なのか。次の殺害予告は県選出の国会議員に及ぶ劇場型殺人へと発展するが

内容(「BOOK」データベースより)

岩手県の太平洋岸にある小金牛村から盛岡市に行くにはいくつか峠を越えなければならない。その峠の一つ、雲上峠の展望台に、男性の生首が置かれていた。被害者は年商30億に上る食品加工会社などを経営する実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰か。村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員への殺害予告が。全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪に、殺しの根が見える藤田警部補と、若手新聞記者の一方井が迫る。

登録情報

  • 文庫: 471ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/9/23)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 404394473X
  • ISBN-13: 978-4043944736
  • 発売日: 2011/9/23
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 270,720位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
今回は「死墓島の殺人」にも登場した魁時新聞社の記者である一方井が大活躍しています。
「霧の塔の殺人」は「首挽村の殺人」「死墓島の殺人」に続く3作目になり、自分はこの2作も読みました。
3作品とも登場している人物がいたり、シーンが変わると事細かにその情景を描かれるのが大村さんの特徴でもあります。

さて霧の塔の殺人は男性の生首が発見されることから始まり、さらなる殺人へと発展、そして真犯人の悲しい動機が明らかにされます。
ただ今回は大村さんのウリのひとつでもある“横溝正史色”は薄いと思いました。
しかし3作品を読んでみて、大村さんの作品には上記に挙げた特徴以外にもう一つ大きな特徴があります。
それは今の日本で問題になっている社会問題を、うまく物語りに絡ませているということです。
霧の塔の殺人では、現在の日本の雇用問題、また社会や家庭からも孤立している若者の心の葛藤が描かれています。
それが物語りにどう絡ませてあるかはネタバレになるのでここでは書きませんが、
自分もただ物語りを楽しむだけでなく、改めて考えさせられる思いでした。

死体遺棄の理由、殺人の動機、ある若者と真犯人の心中、そして物語にも描かれている今の日本の社会問題。
前も後ろも、どこまで続くのかも分からないまさに「霧」のように、すべてがこの一文字に表されています。

ただ一点だけ残念なことがありました。それは登場人物の紹介がなかったことです。
自分は死墓島の殺人のレビューにも書きましたが、最初に登場人物の紹介があると感情移入しやすいんです。
前の2作品にはそれがあり、死墓島の殺人に至っては島の略図まであります。
すべての作品に登場する人物もいれば、当然その物語のみの人物もいますので、
できればその都度、登場人物の紹介があればなお嬉しいですね。

帯にもあるこの「殺人シリーズ」を今後も期待して、次回作を楽しみにしています。
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力作です 2012/3/19
By ナオミベインブリッジ VINE™ メンバー
形式:文庫
作者のこのシリーズ3作目。

舞台は、前2作と同じ、作者の出身地岩手。

岩手県釜石市から車で1時間弱の小金牛村、そこへ行くにはいくつかの峠を越えなければならない。その峠の1つ、霧深い雲上峠で、切断された男の生首が発見される。被害者が地元の実業家。地元の名士に残酷な殺害に小さな村は大きく揺れる。さらには、岩手県選出の国会議員への殺害予告がされ、警察内部のごたごたもあり、捜査は難航する。そして、新たな惨劇が・・・。

物語は全国紙の釜石支局勤務の千葉県出身新聞記者が中心となって進み、前2作にも登場した藤田警部補が捜査の指揮(妨害あり)というか担当する。

作者は横溝正史ミステリ大賞を受賞したことで、やはり読者は「横溝テイスト」をどうしても期待してしまう。なにより、ストーリー展開は、まさに横溝正史風といって間違いないのだ。しかし、受ける印象はまったく違う。別に、横溝正史の名前のついている賞を受賞したからと言って、それに縛られることはもちろんないのだが、ストーリー展開が十分横溝風なので、横溝ファンとしては、つい残念に思ってしまうのだ。

作者が3作通じてこだわった1つは、小説の舞台が作者の出身地である岩手だということだ。
東京の人間からすれば、やはり岩手の小村となると、かなり遠い地方という印象はあるものの、横溝正史が書いた時代とはちがって、いくら都心ではないといっても、今時、おどろおどろしい雰囲気がでる場所などそうあるわけがない。それでも、期待したほどは地方色が感じられないと思うのは私だけだろうか?また、それ以上に、この小説から受ける印象は、連続殺人事件がおきているとはとても思えない、まるでずっと日光がさし続けているような、翳りのない平板な明るさだ。そこが、横溝正史小説から受ける、暗闇に何かが隠れているような、怪しく、不安で、わくわくするような怖さや面白さとの違いだと感じる。
また、作者の社会問題に対する考えも、新聞記者のみならず、村の人間たちからかなり饒舌に語られる。地方の雇用問題や過疎化など、今の日本が抱える問題をこれでもか、とストーリー内で語るのだ。もちろん、大事なストーリーに絡んではいるのだが、しかし、あまり語られすぎるのも、徐々に辟易してくる。言われなくても、わかっている問題については、ミステリー小説内でとうとうと語られずとも、話全体から読者は感じるものなのだから。

ただ、非常に丁寧に書かれていて、話の組み立ても非常にしっかりしている。インパクトこそないものの、地道な好感のもてる文章だと思う。
震災後の岩手を舞台に作者は書き続けるのだろうか?期待したいと思います。
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