安斎氏の「超能力」講義を聞いたことはないだろうか。その講義を聞いた(見た)ならばこの本の半分は読まなくても済むことになる。百聞は一見にしかず、だからだ。霊の存在や超能力に否定的な先生は授業で実際に超能力を披露してみせる。スプーンを曲げたり、透視能力を発揮したりする。その手際の鮮やかなこと。別に種明かしはしなかったが、安斎先生がするのでこれが手品であることは皆が分かるという仕掛けである。この本では歴史上のいろんな霊的体験の種明かしが披露されるが、あの「貞子のお母さん」もびっくりの手品を見たなら、ほとんどの霊的なニュースが手品や科学現象であることに納得する人は多いであろう。ただし安斎氏も言っているが、『存在』を証明する事は易しいが、『非存在』を証明することは実は難しい。世の「霊的」「超能力」証言が絶たない所以である。ここで氏が取った方法は『Xが存在する』と認めるとのっぴきならないことが起ることを証明する方法である。第3章に書かれてある。私は説得力あると思うのだが。
ブルーバックスに書いてあるだけあって、この本では科学者安斎育郎氏の面目躍如、科学数式が沢山登場する。圧巻は氏が死んだら氏の中にあった「原子」がどうなって行くかを論じた安斉流『輪廻転生観』である。まあ、数式に強い人は氏の主張が正しいかどうか検討してください。
『霊はあるか』を考えるということは、『人はどう生きるか』を考えることにつながる。『科学でもまだ分からないことは沢山存在する』と安斎氏は言う。そこから霊に頼ることなく、不可知論に陥ることなち生きて行くためにはどういう人生観が必要か、この本の要は実は最終章にあるのだろうと私は思う。