本居宣長の死後の門人を自称する平田篤胤による、死後の霊の安定のゆくえに思いを馳せて語られた独特の世界把握についての著作。。本居宣長の著作の中では大概控えめだった神代の世界観への言及が、この著書では全面に渉って展開しているのが特色だ。まず古事記などに基づく宇宙生成の様子を引用し、その後に著者自身の見解を加えていくという「古事記伝」と同じような形式をとってはいるが、宣長は他の書から例証を多く挙げて語の意味を示していく記述が多かったのに比して、篤胤は一貫した世界観を先取りしてその神話の構造を指摘していく記述が多いところにまず違いがあるし、文章から受ける印象もやはり違う。宣長が学者や歌人や批評家や思想家など多面的な活動の下でものした文章はどこか論旨に抑制が効いていた気がするのに、篤胤の文章は宣長がおおっぴらに触れなかった「怪・力・乱・神」にあえて突っ込んで議論をしているのが、その体質の違いを示している。
解説で子安宣邦さんが指摘しているように、もはや学問というよりは宗教という域に来ている著作なのだと思う。自分としては本居宣長のほうに興味があるかもしれない。とはいえ、国学といったときの一つの側面を十分に表している著作だと思う。