「スピリチュアル」を駆使して消費者から金銭を収奪する行為の何が問題なのかを明解に説いた啓蒙書。先に出版された編著である『カルトとスピリチュアリティ』(ミネルヴァ書房)で提示されていた著者の論点が、一般向けにより噛み砕いて語られているといった感じもある。「スピリチュアル」が流行する社会的背景を分析しつつ、それが神世界や統一教会のようなカルト集団が跳梁跋扈する悪世相といかなる関係があるのかを考察し、対処法を検討する。
「前世」「霊界」「先祖の因縁」等の「スピリチュアル」を応用したビジネスは、顧客(潜在的な販売者)のリスク認知をゆがませ、利得計算の狂った異常な商品購入(販売活動)を行わせる反倫理的(→犯罪的)な商法である。著者ははっきりとこう断じる。だからメディアがこの種の商法に説得力を与えるような広告を出したり、スピな番組を製作したりするのは自重すべきだし、大学キャンパスなどで詐欺的な布教活動を行っている団体には、「自由」など認めず厳しく取り締まるべきなのだ。
香山リカ氏が、「スピリチュアル」に対し懐疑的な態度をとろうとすると「頭の固い人」「心の貧しい人」と思われてしまい嘆息する、と書いていたが、それでもやはりおかしなものをおかしいと認識するのは大事である。その「おかしさ」の構造を批判的に理解するために、本書は教育者を中心として幅広く読まれてしかるべきだと思う。