初めに、私自身は東日本大震災の被災者ではないことを記しておきたい。今は首都圏にいるが、かつては全く違う地域に住んでいて、10年周期くらいで震度5や震度6のプレート境界地震を経験してきた人間だ。しかし、大きく違うことは、大地震の経験は豊富でも、被災者の立場に立ったことがない、ということだ。今回の東日本大震災では、神奈川も揺れた。それも、これまで経験してきた大きな地震の経験が役立たないほど、揺れは繰り返し、長すぎるほど長かった。そして、そのあとの報道で、想像もつかない事態が進行していたことを知ったのだ。
東日本大震災のあと、様々な雑誌や本が出版された。しかしそのどれにも私は手をつけなかった。しかし、もうすぐあの日から半年になろうというこの時期、この冊子を知り、購入した。
この冊子は、「はじめに」に書かれているとおり、被災者の方々向けではなく、外部から支援やボランティアをしている人たち、また、支援をする立場にはいないが外部に位置する人々に向けて書かれた冊子だった。被災者の方々がどんな立場にいて、時間経過と共にまだまだこれからどんな思いをされるのか。支援者と被災者との関係(立場の違いによる行き違いも含む)、被災者から遠い位置にいる人々について。そのそれぞれが、今回の大震災をどう受けとめ、どう理解していけばいいのか、その道しるべのひとつがここにある気がした。
内容的には具体例はあまり多くない。「環状島」という宮地先生のモデルを使って、それぞれの方々の距離や位置関係が説明され、精神医学的な反応が用語と共に説明されている。とても理解しやすかった。
いずれ、首都圏の私たちも、大震災に遭遇するときが来るだろう。そのとき、私自身はどう対応できるだろうか。それを考えさせられた。
東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。