「平成版『砂の器』誕生!」「2012年ミステリーベスト1 早くも決定」と帯に書いてあれば、ミステリー好きならばうっかり買ってしまうだろう。
私もその口だが、実際読んでみて驚いてしまった。この作品のどこが『砂の器』なのか? ミステリーとして穴だらけの作品であるし、『砂の器』が提示した社会的問題から程遠い内容だからだ。
著者の直筆サインが書店店頭に飾ってあったが、そこには「嘘と真実とを読み分けてください」と書いてあった。
週刊誌のインタビューでも著者は、「(加工肉の場面は)事実が5、嘘が5くらいのエンタメに徹してます」と答えている。
ブログを見てみると、「これがネタ本です」と添加物の恐ろしさを訴えた『食品の裏側』を紹介なさっていた。
「嘘が5」の本なのであればますます、「これは本当にフィクションなのか?」という宣伝文句は禁じ手であろう。
作品の中で、実在の大手スーパーチェーン(SC)そっくりのSCが糾弾されていたが、よく考えてみると(よく考えなくても)このSCは、犯罪を犯したわけでも死人を出したわけでもない。法律にきちんとのっとって商品を作り、販売しているだけだ。
もしその法律が問題なのであれば、糾弾されるべきは、SCではないだろう。
ともあれ、こんな大袈裟な宣伝文句は、著者の将来をつぶし、版元への信頼を失わせてしまうだけではないだろうか。