社訓や社是というのは大体形骸化しているケースが多いものだが、すくなくとも僕が電通に在籍していた時期には迷ったり、落ち込んだりすると必ず立ち返る一種の行動規範として電通マンにはきちんと浸透していた。
電通を離れた今でも好きで、迷ったときにアタマの中で反芻したりする。
もともと鬼十則は、電通を一介の新聞広告押売業者から売上高世界一のエージェンシーへと育て上げた中興の祖、吉田秀雄が自らを律するために書き上げたもので、もとより社是・社訓とすることを目指していない。
にもかかわらず、電通社員のみならず広く社外まで浸透したということは、その言葉自身がシンプルでありながらも大きくいい仕事をやる、ということについて実に示唆に富んでいるからである。
その言葉を、なぜか電通以外の広告会社出身者が、電通社員が「?」と思うような珍解説を付けて本を出して印税を儲けている。
悲しくなるほどその解説は陳腐で矮小化されてしまっている。
「大きな仕事と取り組め、小さな仕事は君を小さくする」という則がある。この著者に、よくこの言葉を考えて欲しいと思う。
最後に、鬼十則に解説は要らない。そのものをしみじみと考えた方がはるかに学びになる。