院試用の物理の問題集はサイエンス社から黄色いやつで有名なのが出ているが,解答の質が異常に悪く,問題を解くのにかかる時間や解けなかった問題を理解する時間よりも解答の間違い探しのほうが時間がかかるという次第で使い物にならなかった。だからこの本は貴重である。問題の選択もおおむね妥当だと言えよう。東大,京大あたりの問題は良問揃いなので2,3回は繰り返したい。ただ,筆者はどうも数学よりの人らしく(数学科卒業と書いてある)解法が時に数学的であり,もっと物理的な直観からスマートに答えが出るところを数式で押し通してしまっている場面も見られた(これが★をひとつ減らした理由である。)。また,筆者独自の創作問題が数個収録されているが,これはあまりに難度が高いと思う。やるかやらないか,その人の趣味で決めればいいように思う。
また,各章の冒頭および各問題の解答の後についている解説はなかなかのものである。演習書によくあるような公式の羅列ではなく,ためになることが結構書かれている。完全導体中での電磁波のふるまいなど,東大院試でけっこう出題されているトピックが扱われていたりして重宝している。
問題数も妥当な数と言える。いたずらに多くもないし,また少なくもない。1章あたり5,6問で4章あるので計22,3問であるが,一問一問がかなり重い問題なので一日2題といても2週間程度で出来るのは非常にありがたい。これを2,3回丁寧にやってあとは悪名高きサイエンス社の黄色い本の50問前後を実践演習的にやれば電磁気についてはOKであろう。