軍事の素人くせに作戦の詳細や武器の性能まで口を出してくるヒトラーに上巻で罷免されたグデーリアン。しかし、負け続ける戦況は渋るヒトラーをして装甲兵総監として復帰させざるを得ない。
反転攻勢にでるために、1年の準備期間と自分の指揮権が条件とするも、結局すべてが反故にされる。遂には、陸軍参謀長になるが、独裁者ヒトラーとその取り巻きの国防軍司令官により、上申のほとんどが却下される。
ヒトラーとの何度もの面談と駆け引き、激昂するヒトラー、一歩も引かないグデーリアン。戦争に負けるくらいならドイツ国も民族も滅んでしまえ、と考えるヒトラーとのやり取りは一読の価値ありである。
やがて罷免され、病気療養中に敗戦となったところで筆を置く。
暗愚な独裁者を選択してしまった民主主義の根本的な問題、優秀な人材を活かせない組織の悲惨さを実感させられる。
また、過激な指導者に人気が集まる下地を作った過酷なベルサイユ体制、ドイツ・日本をして徹底抗戦に追い込んだ連合軍の無条件降伏要求、パルチザンに対する戦争犯罪が成立するのか等、戦争の終わらせ方の問題をも匂わせている。
獄中で書かれた本書は、東部戦線の貴重な資料であるとともに、それでもドイツの再興を願う一途な軍人の回想録として卓越した一冊である。