電気化学に関し書かれている本はほとんど目を通してきました.でも本質をつかめませんでした.しかし,この本のお陰で私は電気化学が真に理解できたと感じました.化学屋にとって数式が出てくる応用物理のような電気化学は天敵のようなものでした.何冊読んでも理解できずもがいていた時,突如現れたこの本を買ったのは出版された96年です.私はD3の学生で何度も通して読み,自分で計算して,本は使い古した辞書のような姿になり,今も私の本箱の中で光を発しています.著者の1人である中林先生が「一冊売れたら僕に100円はいるんだよー.」とおっしゃっていましたが,私にはお金なんかにかえることの出来ないくらいインパクトのある本でした.材料科学者として化学をツールとして使っている人には,電気化学をマスターしながら,この本の構成の「熱力学と速度論」という2種類のものの捉え方を改めて提示され,さらに理解が深まると思います.