安易な電子書籍ブームに警鐘を鳴らす本。
ブームを煽る言説が多い中で、このような本はバランスを保つためにも必要。
緊急出版というのも頷ける。
予約段階での題名は『日本版電子書籍ビジネスは成功しない!』だった。
しかし、無理やり電子書籍のマイナス面にだけ光を当てたという印象。
出版業界の視点から書かれており、その視点から見ると、電子書籍の世界はこのように見えるのか、というのがよくわかる。
電子書籍の時代では、従来の出版業界にいる人たちの中で、必ずはじき出される人が出てくる。
それにおびえて、時代の流れを押しとどめようとしているかのようだ。
「電子書籍の時代なんか簡単に実現してたまるか」という本音が垣間見える。
どうしたら電子書籍という新しいコンテンツの世界を作り上げることができるか、という発想はなく、「電子書籍なんか儲からないから、だめ、だめ」と否定しつくして終わりというのが、結論。
前向きな話や、将来へのわくわく感はなく、ただただ全否定に終始する。
電子書籍に期待する人たちに冷や水を浴びせ、新しい可能性の萌芽までも摘み取ろうとしているかのよう。
読後感は「じめっとしたもの」を感じる。
これは、身動きの取れない出版業界の手詰まり感を反映しているのか。
出版業界の怯えようを見ると、逆に今度こそ電子書籍時代の到来は本物かもしれないと思わせる。
と同時に、従来の印刷出版の延長線上に電子書籍を位置づけようとしても無理だということ、そして、出版業界の人たちに任せておいたら、日本の電子書籍市場は本当にガラパゴスになってしまうかも、という印象を深くした。