3.11後、原発再稼働の見込みはまったく立たなくなり、2012年夏の電力危機が現実のものとなりつつある。
一方で、電力の固定価格買取法案が成立し、メガソーラー発電所の建設の動きなども報道される。
このような中、本書は以前から電力自由化問題について研究してきた著者による最新の電力自由化のための処方せんである。
北欧4カ国やドイツの電力自由化政策を取り上げ、さらにはスマートグリッドの考え方を詳細に紹介し、電力自由化後の近未来の日本の姿を読者にわかりやすく描いてみせる。
東京電力が危機的な状況に陥っている上に、この国のすべての原発の再稼働が困難になりつつある今、著者の言う発送電分離とスマートグリッドが現実のものとして浮かびあがってきたといえる。
なお原発について著者は、国が買い上げて責任もって廃炉まで管理していくことを提言している。
1990年代に議論された電力自由化論議では、既得権益に守られた電力会社の反対論が強固なためにほとんど改革が進まなかったが、皮肉にも今回の大事故によって本格的な改革の起爆剤となりうることになった。
本書の提言は、再生可能エネルギーやスマートグリッドという分野への投資を通じて、日本経済の起爆剤にもなりうると確信する。