子供の頃、シリーズで一番好きだった一冊です。
身長2メートルもあるロボットが東京の街を練り歩く。
人騒がせなテーマパークの宣伝マンと思われた怪ロボット、実は・・・という流れでお話が進むわけですが、乱歩先生もこのあたりになるとある意味開き直ったというか、とても吹っ切れたものを感じます。
昭和30〜40年代の夕暮れの東京で荒唐無稽極まる活劇を繰り広げる怪人二十面相と少年探偵団。快活に笑う明智小五郎と翻弄されっぱなしの警視庁。これでいいんです!! こ難しいトリックなんていらない。愛憎入り混じった動機なんてわからない。僕たちが読みたかったのはこういうお話だったのです。
今回の二十面相のアジトはすごいです。部下のみなさんもご苦労様です。金も手間も惜しまずにこんなことばかりするボスに全面的な信頼と尊敬なくして手下は務まらないんでしょうね。どう考えても拉致した誰かを「楽しませる」ための仕掛け満載。子供心に「おれも二十面相を尾行して捕まってみてぇ!」と本気で思ったものです。
改めて読んでみると、推理の要素なんて皆無と言っていいけれども、子供の冒険心を刺激するには最高の一冊だったと思います。
木造校舎の小学校。西日射す図書室で夏の熱気が残る中、一人読みふけった日々が鮮やかに蘇りました。
でも、できることなら旧装丁で出してほしかったですね。
鉄道の信号機がぽつんと立つイラストの半分が赤みがかった大胆な表紙デザイン。裏表紙には無人のプラットフォームに長く伸びた二十面相の影。僕の通っていた小学校にあったのはこちらの装丁だったので。