先に告白すると、押井守氏の文章を読むのはほとんどこれが初めてでした。
作品世界の(虚実取り混ぜた)出来事の歴史的経緯や政治的背景、登場する空母・航空機などの(架空の)開発史などを、斜に構えた視点で詳述しながら物語は進みます。
「日本が太平洋戦争に勝った世界の話」だと思っていたのに、いきなり南北戦争から話が始まった時は何事かと思いました。
つまり、それが作品世界の歴史の転換点だった、ということなのですが。
そして、本の後半は小説ではなく、この作品を含む「PAX JAPONICA」世界作品の今後の展望や、そもそもなぜこのような作品を書くに至ったか、という思想というか、日本論。
それはそれで面白いんですが。
小説の中で起きる「出来事」に絞って書けば、短編に納まるかも知れません。そこに濃密な蘊蓄を詰め込んでこの長さになっている感じです。
とても面白かったんですが、万人向けではもちろんありません。
「スター・ウォーズ」を見る時、冒頭の字幕を熱心に読むような人向き。