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本作は通常の“身分違いの恋”という単純な話ではない。
実らなかった恋であるが、ひとときだけでも幸せを燃焼つくした2人はきっと幸せであったと信じたい。
いや、“実らなくてよかった”恋と思いたいといった方が適切かな。
信念を曲げずに生き抜いた“お遊”に拍手を送るとともに助三郎という宝物の幸せを祈らない読者はいない。
2人の愛情は助三郎によって受け継がれるから安心だ。
助三郎の出生を産みの父親に話さずに身内の“胸の内”に仕舞っておいたストーリー展開は素晴らしいと思った。
その結果としてかえって物語全体を“潔い”ものとしている。
あと印象的だったのはお遊が出てくるまでわずかな生存の可能性を信じて祈っている瀬田家の家族一同の懸命さが胸を打った。
是非この作品を読んで恋の切なさをあなたの“胸の内”に仕舞っておいて欲しいと思う。
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