『人間シリーズ』完結編四部作の1冊で,
『メフィスト』の2009 VOL.1に掲載の作品.
『戯言シリーズ』ではほとんど触れられなかった人や集団たちの戦いがメインとなり,
主人公が17歳と語られている事から,
『匂宮出夢との関係』から約2年後と思われます.
その戦い,『あとがき』で語られていた『精神バトル』と呼ぶにはいささか疑問ですが,
とんちのようなというか,捻りを効かせた決着はどれも変わっていてまずまず楽しめます.
反対にスカッとする感覚には乏しく,次の敵と進むにつれて徐々に端折られていくのが残念.
確かにダラダラやられても読みづらいのですが,それぞれしっかりと読ませてほしかったです.
また,同時刊行された
『匂宮出夢との関係』が主人公の内面を語る上で重要になっており,
たびたび過去を思い出したり,終盤に彼が漏らす言葉には何とも言えない切なさが残ります.
『関係』が語られるはずの相手とのやり取りがほとんど無かったのは残念なところですが,
直接やそうでない時でも,節々にその相手への信頼や愛情が伝わるのは良かったと思います.
なお『メフィスト』に先行掲載の3作,書籍化に際しての大幅な改稿は確認できませんでした.
ちょっとしたセリフや表現の付け足しはありますが,原則として同じと考えて良いと思います.
イラストはカラーのカバー以外では,そのカバーのシルエット部を埋めた同じものがモノクロで,
後は主要人物を1ページに収めたものが同じくモノクロでと寂しいものとなっています.(4作全て)