『戯言シリーズ』からのスピンオフ,『人間シリーズ』完結編四部作の1冊になります.
物語の内容,時系列は『戯言シリーズ』の
『クビシメロマンチスト』と並行していて,
その
『クビシメ』で起きていた別の事件の真相が,いわゆる脇役たちの目線から語られ,
彼女たちの内面を写しつつ主人公が,そして僅かですが戯言遣いの少年が描かれています.
また,他の3作とは明らかに違う雰囲気は
『クビシメ』に密接しているせいもあってか,
どこか『戯言シリーズ』に近いようにも感じられ,最近の作品とも違う印象を受けます.
ただ,主人公と戯言遣いとの直接のやり取りが無かったのは肩透かしを喰らった気分で,
最後に飾られる二人の『関係』は,ファンならば思わず苦笑いの込み上げるものでしたが,
4冊の中で唯一の書き下ろし,何よりサブタイトルのへの期待が大きかっただけに残念です.
他にも物語の裏側を覗いた楽しさや,戯言遣いへの他の人物らからの評価は新鮮でしたが,
落ち着いて進む中で挟まれるユーモアは今ひとつで,こちらは却って逆効果だったような….
とはいえ,何かと不安を抱えていた主人公がエピローグで見せた姿は嬉しかったですし,
新たな謎や事実を残しての終了は,想像と期待を膨らませてくれるものだったと思います.
『完結編四部作』にしては不満も残りますが,全部を読んで初めて主人公の事がわかります.
ですので出来るだけ全て,そして余裕があるなら過去の作品も読み返される事をお勧めします.
なお,読む順番については西尾さんが「独立した物語なのでお好きにどうぞ」と仰られています.
(ちなみに発表された順番は
『出夢』→
『伊織』→
『双識』ときて,この『戯言遣い』となります)