『人間シリーズ』完結編四部作の1冊で,
『メフィスト』の2008年9月号に掲載の作品.
時系列としては『戯言シリーズ』のおよそ5年前,主人公が中学生の頃となっています.
この作品での事が他でもたびたび語られるなど,四部作の中でも重要な作品のようです.
同時刊行された4作の中では最もわかやすく二人の『人間関係』が語られているようで,
相手側の目線を中心に葛藤や心のぶれを描く事で,主人公との関係が語られていきます.
序盤は比較的明るめ,二人のやり取りは憎まれ口を叩きながらもどこか楽しげに映り,
他にも『戯言シリーズ』では触れられていない事がチラリと出てくるのは楽しみどころ.
また途中のバトルシーンもあまりダレず,こまめに場面を切り替える演出はテンポが良く,
中でも敗者が最期を迎えながらに思う場面は,三人称視点ならではの良さが感じられました.
そして終盤,二人の関係に影響するある人物の登場にはソワソワと落ち着かない気分で,
人を食ったような態度で揺さぶり,心をかき乱していく様子には何とも言えない嫌悪感が.
そこから結末へと向かう流れは相手側の苛立ち,心の叫びが痛いほどにわかるもので,
裏側にある気持ちと苦しむ様子を見ていた分,そういう態度でしか伝えられない哀しさ,
いよいよ決定づけられてしまう二人の『関係』に大きな切なさを残すものとなっています.
最初と最後では違っている服装の意味も,読後の苦さをさらに強くさせられ印象に残ります.