たしか、椎名誠の文章が「昭和軽薄体」と言われていた頃に、シリアスなタッチで描かれたシベリア紀行本があるはずだ。不意に読みたくなった。でも頭の中でタイトルがあやふや。「シベリア夢幻」だったような気がする。でも本屋の棚にあったのは「零下59度の旅」。ぼくの勘違いかと思って購入。あとで調べてみて気がついたのは、ぼくが欲しかったのは「シベリア追跡」(集英社文庫)で、「-夢幻」の方は文庫化する際に「零下-」と解題されたもので全くの別ものだったことである。まあ、いいや。本書は写文集で椎名誠自身が撮影したモノクロ写真が中心となっている。厳寒のシベリア。カラーフィルムで撮影してもモノクロームな雰囲気になりそうだ。文章の方は写真のキャプション的役割にあるのだけれど、文と写真がセットで配置されていないので、少々戸惑う面もあった。これもまあ、別にいいけれど。