本書では、前年の「オリエント急行の殺人」の雪で停車した列車内と同様、飛行機内という閉鎖空間での殺人を扱っているため、犯人は機内の乗客・乗員に限られる。
それをポアロは乗客たちの手荷物から犯人を推理するのだが、これが論理的で納得性が高い。
本書は1935年の作品で、前年には「オリエント急行の殺人」、翌年には「ABC殺人事件」と「メソポタミヤの殺人」、翌々年には「ナイルの死」と、作者の代表作が目白押しで、それらの中に本書は埋もれてしまった感があるが、謎解きの論理といい意外な犯人といい充分に楽しめる作品で、着想だけが奇抜な「オリエント急行〜」や「ABC〜」よりは上だと思う。
1点だけ不満を言えば、飛行機の乗員を身元が確かだというだけの理由で容疑から外したのは安直過ぎると思う。
なお、本書で扱われたのはあくまでも飛行機内という閉鎖空間での殺人であって、いわゆる「密室殺人」ではない。