「てのひらを ひらひらさせ」てふわりと浮き上がり、小さくなっていく家々を眼下に高度をあげ、真っ白な雲の海に飲まれ、雲を越え、お日さまに出会う。読み手は、少年のとなりで、共に空の旅を体験するような気持ちのよい浮遊感を味わうことができるだろう。著者らしい、全体にうすくもやのかかったような、淡く美しい色使いで空の世界が描かれていく。
著者自身の体験をもとにしただけあり、たった1回きりでもう飛べなくなった、と語る少年の姿はリアリティーに満ちている。単なるファンタジーと言い切ることのできない力強さがある。そして、ふと、自分にもかつてこんなことがあったのではないか? と思い返さずにはいられなくなってくる。この本を読んだ子どもたちにとっては、もしかしたらこれが「空を飛んだ経験」として、心に残っていくのかもしれない。(門倉紫麻)
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