本書は、前著以後の富士通とIBMの論争の変遷をコンパクトにまとめ、流れのなかにIBMの93年の崩壊に向けての序奏部分もカバーし、あのころの空気がよくとらえられている。伊集院氏が、元部下だった九鬼副社長から戦力外通告を告げられ「わかった。お世話になった。ありがとう」と答える場面がある。引き際の美学とともに、サラリーマン戦士的な一時代の終焉の象徴のような印象もかもし出す。伊集院氏も国領先生も書いておられる「次なる雲」は、従来型の日の丸式の取り組みで、閉鎖的な日本企業のみのコンソーシアム形式で日本国内をマーケットとした発想では生まれてこない。ターゲットを世界とし、他の国の企業も日本のシナリオに織り込んでいくという21世紀の日本の成長モデルへ向けての大きな転換が必要になるのだろう。新しい時代を引っ張る第二の伊集院氏たるリーダーが生まれることを期待したい。