出版社/著者からの内容紹介
収集魔、沼田元氣の秘蔵コレクションから厳選された100枚を越える封筒たち。 エールフランス、KLMオランダ航空、スカンジナビア航空、スイス航空、ルフトハンザ・ドイツ航空、アエロフロートなど……。 エアラインのアメニティキットとして愛されたものや、レアな初飛行カバーを多数掲載。当時の切手デザイン、 飛行機型につくられたかっこいいスタンプも見逃せません。収録は年代順で、1941年のコスタリカ航空から1991年のチェコスロヴァキア航空まで (1960~70年が中心です)。郵趣家、エアライングッズ・ファン、デザイン好きにもおすすめします。
雲の上から手紙をだすこと
あなたは今、どこか海外へと旅行に行く為、とあるエアラインの機内にいます。荷物を上の棚にしまい、シートベルトをしめ、離陸するのを今か今かと待っているところです。ひとしきり、機内誌をパラパラとめくったり、これから出されるであろう機内食のメニューを確かめてみたり、映画のプログラムなんかをチェックしたりしています。どんな旅慣れた人でも、この地上を離れる前の、ドキドキ感、ワクワク感は、何度味わっても期待に胸が高なることでしょう。えっ? 何ですって。でも? 一旦離陸してしまえば空と雲と地平線の景色ばかりで、退屈で死にそうですって? それならぼくは「手紙を書くこと」をおすすめします。これから始まる旅が、うんと長い旅であるならばある程、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。〈中略〉
さて、誰に手紙を書くのかというハナシで思い出したのですが、かって自分自身にあてて手紙をだすことが流行ったそうです。しかも雲の上から。まだ飛行機による海外旅行が珍しかった、船の大航海時代から世界が空の旅によって結ばれていった頃、次々と新しい空の航路が就航され、ファーストフライトの記念に、雲の上から旅の記念に手紙をだせるサ-ヴィスがあったというのです。その時、自分への記念スーベニイルとして、自分の住所へ、旅のマニアあるいは郵便マニアや飛行機マニアは自分あてにだしたそうです。郵便と交通機関の発達は切っても切れない深いつながりがあります。かつて乗り物の中に郵便局があったのは鉄道(鉄道郵便局)と船(船舶郵便局)のみだった為(電車や客船に旅する郵便局があったなんて素敵じゃないですか?)、飛行機の場合は、航空郵便路線や航空路線の開設の初日に、飛行場から、出発当日の記念スタンプを押し、あて名と住所を白地のまま機内に持ち込んで機内の乗客にサ-ヴィスとして配っていたようです。
ここにコレクションされた封筒を見て思うのは、旅先から手紙をだすことは手紙がひとつの自分の分身として、又、旅をするという不思議さ、面白さ、ファンタジイだと思うのです。機中の雲の上では、ただの白い紙だったものが、折りたたまれて、思いを込めて封をして、切手という旅の切符を貼ることで、旅にでれるということ。かあいい便りには旅をさせろ――メールや電話より時間がかかるのは当り前です。この便りは、旅をしてきたんですからね。
どうです、あなたも雲の上で手紙を書きたくなったでしょう? (著者まえがきより)
初飛行カバーとは?
ファーストフライトカバー(First Flight Cover)とも言う。航空郵便線路または航空路線の開設の記念とするため、差し出される国際郵便の航空書状または印刷物。原則的に、出発空港所在地の郵便局において初便出発当日の日付で消印された上、初便により名あて空港まで運送される。初飛行カバーについては、万国郵便条約に別段の規定がないので、この扱いをするためには関係郵政庁間であらかじめ合意を必要とするが、郵政庁によっては、これら郵趣的なサービスを認めないところもある。(『郵政百科辞典』より)
沼田元氣(ぬまた・げんき)プロフィール
写真家詩人、郵便愛好家。著書に『京都スーベニイル手帖』、『ぼくの伯父さんの喫茶店学入門』、すずき大和氏との共著『ささやき』、翻訳にジャック・タチ著『ぼくの伯父さんは、のんきな郵便屋さん』等がある。日本孤独の会々員。
内容(「MARC」データベースより)
まだ飛行機による海外旅行が珍しかった時代、ファーストフライト(初就航)の記念に、雲の上から旅の記念に手紙をだせるサーヴィスがあった。エールフランス、KLMオランダ航空、スイス航空等の初飛行カヴァーを収録。