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雪
 
 

[単行本]

オルハン・パムク , 和久井 路子
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,360 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

「これは、最初で最後の政治小説だ」

           和久井路子
『雪』の主人公は四十二歳の詩人

 『雪』の主人公は、四十二歳の詩人である。彼はこの十二年間ドイツで亡
命者としてくらしていた。母親の葬儀に参列すべく十二年ぶりにイスタンブル
の地を踏んだ折に、新聞記者をしている昔の友人の勧めで、トルコの北東の辺境
の町カルスでの取材の申し出を受けいれる。彼はその理由を、生まれ育ったイス
タンブルの変わり様から、文化的にも経済的にもトルコで最も立ち遅れているカ
ルスの町に行けば、失われてしまった子ども時代の思い出に出会えるかもしれな
いと考えたためだとしている。しかし、心の底では、その真の理由が、そこに昔
学生運動をした仲間であった美貌のイペッキが、夫で同じく仲間であった詩人の
ムフタルと正式に離婚をして住んでおり、その彼女の心をかち取り、人生の最後
の幸せをつかもうとしているからだということに自分でも気がついている。
 彼はカルスで、この四年間どうしても書けなかった詩が、あたかも誰かが耳元
で囁くかのように次々にわき出してくるのを体験する。これらの詩を送ってくれ
る者が誰であるかを考える時、そして降りしきる雪がどこから来るのかを考え
る時、若い時から無神論者であったはずの彼は、心の中で神の存在を考えるよう
になる。降りしきる雪の無数の結晶が全て異なり、全く同じものはないという事
実を考える時、人間の誰しもが、過去の記憶と想像力と理性の軸からなる六角の
結晶を持っていることに気がつく。その結晶はそれぞれ異なり、全く同じものは
存在しないことも。
 大雪のために道路はすべて遮断されて、カルスが外界から完全に弧立した
三日間に、イスラム主義者の政党の有力な市長候補者の当選阻止と、イスラム主
義者とクルド人民族主義者の運動の気勢をそぐために、偶々カルスにやってきた
演劇団と町の協力者によってクーデタまがいのものが計画され、いくつかの偶
然からそれが成功する。主人公は、カルスの町から無事に抜け出すために、また
将来の唯一の幸せをつかむために、意に反してクーデタに手を貸してイスラム過
激派のテロリストとの仲介役を演じざるを得なくなる。こうして、全く非政治的
で、よい詩を書くことにしか関心のなかった主人公は、政治と宗教の渦中に巻き
込まれてゆくことになる。

『雪』は「最初で最後の政治小説」
 『雪』は、オルハン・パムクの七作目(英訳された五作目)の作品で、著者自
身の言葉を借りれば、「最初で最後の政治小説」と言われている。ドストエフス
キーもJ・コンラッドもひとつだけ政治小説を書いているから、と。また、トル
コの政治小説の多くは、イデオロギーが表に出て、文学からは程遠いものだった
が、このテーマだけは書かなければならないと「政治的メッセージのない政治小
説」を書いたとも言っている。冒頭にスタンダールから「文学において政治と
は、コンサートの最中に発射された拳銃のように耳障りで忌まわしいものである
が、しかし無視することもできないものである。今読者はこの醜いものに触れる
ことになるのである」と引用しているが、読者は、「この醜いが無視することが
できないもの(=政治的な題材)」を扱っているにもかかわらず、この作品が
十分に文学であり、芸術であるのを見出すことができるであろう。さらに、巧み
なプロットによって、そこには、恋も、ミステリも、芸術論も、クーデタもある
読み応えのある作品となっている。
(わくい・みちこ/中東工科大学〔アンカラ〕勤務)

内容(「MARC」データベースより)

1990年代初頭、トルコ北東部の地方都市カルス。雇われ記者の詩人Kaは、イスラム過激派によるクーデター事件に遭遇し、宗教と暴力の渦中に巻き込まれ…。世界40か国語に翻訳され、各国でベストセラーとなった超話題作。

登録情報

  • 単行本: 572ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2006/3/30)
  • ISBN-10: 4894345048
  • ISBN-13: 978-4894345041
  • 発売日: 2006/3/30
  • 商品の寸法: 19 x 12.6 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 139,277位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By デルスー VINE™ メンバー
形式:単行本
以前、『わたしの名は紅』を読んだ時にも、

隅々まで計算し尽くされた構成の巧みさが印象に残ったが、

本書『雪』の構成は、おそらくそれ以上に緻密だと感じた。

いちおう純文学のカテゴリに入る作品ではあるが、

本格推理系の作品が好きな人は、大いに楽しめるのではないかと思う。

主人公の詩人Kaが、雪の降り続く地方都市カルスに閉じ込められ、

一種のクーデタに遭遇するという設定自体は、

どこかカフカの『城』を思わせるが、

本書は同時に、現代における最大の主題の一つとしての

イスラーム急進主義と暴力を扱った政治小説でもあり、

読者の意表を衝く筋運びの面白さで読ませるような、

骨太のエンタメ系の魅力をもたっぷりとそなえている。

数日間の出来事を、単に経過順に整理して記述するのではなく、

「心的リアリティ」とでも言うべきものに沿って描いていく文章は、

決して読みやすいものではないが(ちなみに、設定や主人公の名前以上に、

文章の拠って立つ論理そのものが、カフカによく似ていると感じられる)、

全篇を貫く緊張感がダレることは一度もなく、

いちど読み始めれば、むしろ中断するのが惜しく思えるはずだ。

(といいつつ、私自身は何度も短い休憩を入れながら、2日間で読んだ。)

他のレビューを見ると、訳文にはいろいろと注文もあるようだが、

今年刊行予定という『イスタンブル』や、その他の作品が早く読めるよう、

訳者の和久井氏には今後も頑張っていただきたいと思う。
このレビューは参考になりましたか?
20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
トルコという国を見つめて来た私にとって、この小説の舞台がトルコの東の「カルス」という小さな地方都市、降りしきる雪の中で進められていく静かなロマンスや、この国で繰り広げられてきた思いがけない政治や宗教の切実な話が重い説得力を持って迫ってくる優れた本だと思う。 トルコの抱えてきた「クルド」の問題、トルコが掲げてきた「政教分離」、何気なく受け止めてきたそれらの事が実はその中で思いがけない矛盾を孕んでいたことなど・・・。

つい先日その「カルス」を歩いて来たばかり、あの美しい並木道や優しいパン売りの少年が目に浮かぶ。 

旅先で知り合ったイギリス人女性は「カルスは何も無いくすんだ町だった」といったが、私も2,3度のカルスの認識は彼女と同じ感想しか持てなかった。

ところが今回のカルスの印象は歴史の残る美しい村だった。そこで展開される詩情漂う物語は只の物語ではなく、後ろに流れる歴史が切ない重さを与えている。

星1つ足りない評価は「翻訳」。文の流れが滞る。
このレビューは参考になりましたか?
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By たま
形式:単行本
オルハンパムックがついに日本語訳!この本は「唯一の政治小説」だそうで、彼のその他の本とはかなり毛色が違います。評価は賛否大きく分かれるようですが、単純に他の作品より読みやすかった・・・ミステリー的要素のためでしょうか。

結末は切ないです。「オリエンタル」な歴史上のトルコではなく、今のトルコの息吹が感じられます。
このレビューは参考になりましたか?
最近のカスタマーレビュー
とにかく翻訳が下手すぎる。原作者がかわいそう。
とにかく翻訳が悪く読むのに苦労します。
出版社もよくこの訳でokしたものです。
ぜひ、きちんとした翻訳で再度読みたいので検討ねがいたいです。
投稿日: 6か月前 投稿者: 橘師直
原作の良さをダメにする翻訳
翻訳が原作の良さを潰しています。読み進めるのには我慢が必要。新たな日本語版を心待ちにしています。
投稿日: 8か月前 投稿者: パラディッソ
「テーマ」と「完成度」純文学小説の是非を問う一作
著者は非常に真面目な方なのだと思う。本作『雪』には遊び心が無く、ひたすらに大真面目な世界が描かれる。そして、テーマは「民族とムスリム」という下手な批判が許されない... 続きを読む
投稿日: 9か月前 投稿者: I Love SevenStars
残念ながら翻訳が
作品のよさについては、皆様のレビューにゆずります…。... 続きを読む
投稿日: 10か月前 投稿者: 秋雨
オススメ
素晴らしいの一言。出会えて良かった!本気で思った。無人島に行くならこの本を必ず持っていく。書き出しから最後まで、冷静で安定していて魅力されました、書き出しから最高... 続きを読む
投稿日: 2009/10/12 投稿者: 柚子
絶景を前に度数の合わない眼鏡を掛けさせられ続ける様な…
イスラム社会の現実感、空気感と共に進行する作品の緊張感は
他の方々の言われる通り素晴らしいと思うのですが、... 続きを読む
投稿日: 2009/6/28 投稿者: ひまわり
雪が降っている
けっこう時間がかかった。重厚な本だ。そして今の時代の本で、トルコという国の本だ。... 続きを読む
投稿日: 2008/1/31 投稿者: chiro128
トルコという場所についての作品。
... 続きを読む
投稿日: 2007/8/19 投稿者: サイゴンの坂道
憂えるトルコ人
はじめから終わりまで憂えるトルコとトルコ人がぎっしり詰まってました。... 続きを読む
投稿日: 2007/3/27 投稿者: みの
不思議な読後感
あまり小説を読まない方ですし、特にこのような厚い本は読まないのですが、これだけは吸い込まれるような感じで一気に読んでしまいました。遠い世界なのにどこか身近な感じの... 続きを読む
投稿日: 2007/3/12 投稿者: らいおん丸
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