「空白の五マイル」に続いて出版された本書は,ヒマラヤのダウラギリ山系のコーナボン谷において,雪男を捜索するという,未確認生物を探し出そうというある意味で荒唐無稽のお話である。
雪男が発見されていれば,今頃すごいニュースになっているだろうし,そういう意味では「やっぱりいなかったのか」と結末を予想したりもするけれど,読み進めていくにつれて,「あれ?もしかして居たの?」と感じさせるところはすごい。前著でもそうであったが,「グイグイと読ませる力」は著者の天賦の才能であるのか,一晩かけて一気に読むのもお勧めできる。
実際には,本書が前著よりも先に書かれていたためか,文章のところどころの修飾がやや多いように感じられたりもするが,特に嫌味になることもなく読むことができるのがいい。
実際の,著者を含めた捜索隊の顛末を含め,このコーナボン谷がどうして,「日本人の間でこんなにも雪男が出没される場所」として認知されるにいたったかが,綿密な取材によって明らかになる。
その構成は,前著でおなじみであるが,薀蓄になることのない,「ハラハラして読ませる知識」としても読み応えがある。
最終的にはまた,山あい深くに出かけてしまうのであるが,最後まで落としどころが予想できない,楽しめる一冊である。
可能であれば,現在の文章量であればもう少しスリムな体裁にするか,さらに取材をすすめて倍ぐらいの量を提示するかをしてほしかったりもするが,著者の興味がさらに次に移ってしまっている現状では,それを期待するのは贅沢か。