忘れもしない1989年の夏、本書を読んだ私は「訳分からないけど面白いっ」と、当時ハマっていた横尾忠則の画家日記と同じ読後感覚を覚えました。決してロジカルでもなく、啓蒙的でも無い文章だが、著者が学者にもかかわらず意図的に書いているところに「ズルいけど、こんなのアリなんだ!」思ったことを覚えています。
著者に対する評価は賛否両論あるが、改めて中沢さんのやってきたことを辿れば、彼は思想アーティストだと思えば全て合点がいく。当時なぜか浅田彰氏の文章には全く魅き付けられなかったのも、自分にとって学者の文章か、アーティストの文章なのかを、無意識に振り分けていたせいだと思う。私にとって本書は次のWHATを考える時のおもちゃ箱のようなもので、一生手放せない。