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雪沼とその周辺 (新潮文庫)
 
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雪沼とその周辺 (新潮文庫) [文庫]

堀江 敏幸
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (41件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

第40回(2004年) 谷崎潤一郎賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。

登録情報

  • 文庫: 206ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/07)
  • ISBN-10: 4101294720
  • ISBN-13: 978-4101294728
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.8 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (41件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
オアシス 2005/3/28
形式:単行本
いいですね。この小説は。
この小説を読んでいる時に感じたのは、自分の気持ちの中で、今まできれいな水が行き届いていなかった場所へ、ゆっくりと純粋な水が染み渡っていくような感覚でした。まるで枯渇した砂漠を潤す「オアシス」のようなものですね。そして、文章や内容にも「味がある」という感覚を強く持ちました。私の中では今まで味わったことのない小説です。

年を重ねることのすばらしさと、終わりを迎えることの寂寥感など、しみじみと染み渡ってきます。
絶対にオススメ!だと思います。

このレビューは参考になりましたか?
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 著者の堀江敏幸は1964年生まれだからまだ40歳である(2004年現在)。それが一番の驚きだ。若いときから老け役でいい味を出してる役者というのがいるが、まさにそんな感じではないだろうか。雪沼(という架空の地方)とその周辺に住む、地道な人々の地道な人生。だからこその“生き方”や“こだわり”や“強さ”がどうして著者には判ってしまうのだろう。体験的なものなのか、感性なのか、想像力なのか。流行、マスプロダクト、欲望といったもの対極にある人生観、世界観。都会や現代を語らずに都会や現代に対する批判になっている。読んでいて癒される感覚があり、その癒しも高いレベルのものであることがわかる。でもこの心地のよさは僕にとって唯一のものとして認めるには、あまりに枯れていて、謙虚で、きれいでありすぎる。バランスが崩れかかってる時、またこの人の著書に手を伸ばしてしまいそうな予感はする。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By シロフォン トップ1000レビュアー
形式:文庫
雪沼という山あいのひっそりとした町。どこか昔風でそれがいっそ美しいこの町とその周辺に暮らす人々の生活が丁寧に綴られた連作7篇を収める。語られるのは人々だけではない。旧式のボウリング装置、裁断機、家具調ステレオといった「機械」や「物」が、人々と分かちがたいものとして描かれ、独特の表現で鮮やかに映し出される。

作品内で「機械」や「物」が丁重に扱われるためか、本作には職人的な人物が多く登場する。職人に限らず、雪沼の人々の性格は職人的というのか生真面目で、それがなんともいえない安心感と信頼感、憧憬の念を生む。

どの作品もまぎれもなく著者の文章なのに、一作一作色合いが違う。雪沼の静かな風景の一部になっているかのようでありながら、誰もが異なる世界−ごく小さいけれども確かな世界−をもつことを思わせられる。物語は前置きなしに何気なく始められ、彼らの姿に迫ろうとページを繰るにつれて、閉じられていた物語、主に過去の物語が立ち上ってくる。そしてひたすら読み入るうちさっと幕引きがなされるので、読者は物語の中から立ち去り損ね、いつまでもその中に漂う格好になる。そんな読後感だ。
地の文の中で人々は「・・・さん」と表記されるのだが、これが妙味を加えている。ユーモラスな作品ではより親しみやすく、居住まいを正したくなるような作品では敬意を伴って響く、「・・・さん」。 その他書ききれないが、読書の愉しみを味わわせてくれる作品集である。

「送り火」は、2007年度大学入試センター試験に出題された。試験に取り組まれた皆さんが、今度はこの文庫を、ゆっくりと読んでくださっていることを願う。
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